バイリンガルのメリットとは? 早期英語教育の利点と注意点を解説
公開日:2022/05/03
更新日:2022/05/03
英語ができると将来の可能性が広がる一方、できないと活躍の場が制限されてしまいます。グローバル化が進む日本で英語に苦労した経験を持つ親であれば特に、子どもが英語で苦労しないように早くから英語教育を受けさせたいと考えることでしょう。しかし、早期英語教育により子どもがバイリンガルを目指すことには、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。今回は、バイリンガルになるメリットや注意点について紹介します。
1.バイリンガルになると子どもの可能性が広がる
英語は世界の共通語です。日本語だけではなく英語も使いこなせるバイリンガルになれれば子どもの今後の人生に良い影響を与えることは想像できますが、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、バイリンガルになることが子どもの将来に与える3つのメリットを紹介します。
1-1.脳機能の活性化や学習能力の向上をはかれる
バイリンガルになるメリットのひとつとして、効率的な学習と学習能力の向上に対する高い期待が挙げられます。バイリンガルはモノリンガルに比べて、集中力や注意力が高いという研究結果があるからです。モノリンガルとは1つの言語のみを習得している人を指します。日本では、2つの言語を使いこなせるバイリンガルは1割程度しかいないとされていて、モノリンガルのほうがメジャーな存在です。バイリンガルになれれば、学習が必要となるさまざまなシーンで勉強の労力を減らせ、日本人の多くを占めるモノリンガルよりも効率的に学習できる可能性があります。特に、日本の学生はほかの教科に比べて英語にかける学習時間が多い傾向にあり、効率的な英語学習ができれば、子どもにとって大きなメリットです。
そもそも、単純に考えても、1つの言語だけを使用するよりも2つの言語を同時に使用できる人のほうが頭の回転がよいことは想像できるでしょう。2つの言語を同時使用するためには、言葉を発するたびに言語の切り替えなどを行う認知制御が優れている必要があるからです。バイリンガルは脳のうち認知機能に関わる前帯状皮質(ぜんたいじょうひしつ)の灰白質(かいはくしつ)が発達しています。
灰白質は識別した情報をもとにその後の行動を命じたり、記憶や認知、感情のコントロールといった高次機能を動かしたりする大事な役割を担った大脳の表面近くにある層です。灰白質が発達したバイリンガルは脳の切り替えを上手にできるため集中力や記憶力がよく、思考の柔軟性にも優れています。さらに、このような優れた脳機能は高齢になっても影響が残るとされているうえ、小さいころから複数の言語を学ぶことは認知制御の機能の向上と2言語を同時使用させる脳内の神経システムの発達を促すとも考えられているのです。
1-2.多様な価値観を学びコミュニケーション能力を高められる
言語を習得する際には、その言語が使用されている国の背景にある文化を理解することも重要です。英語を学ぶなかで英語を使用する異国の文化と触れる機会も持てれば、考え方に広がりができて異国の人や異なる文化などに対する適応能力が高まります。日本に住み日本語しか知らないで過ごす環境は視野が狭まりやすいものです。日本人としての価値観のみでしか物事をとらえられなくなる可能性もあります。対して、英語を話し英語圏の価値観も知ったバイリンガルは、モノリンガルに比べると多面的に物事を見る人が多い傾向です。
また、日本語以外に扱える言語があると、日本語以外を話す人との関わりも持ちやすくなります。コミュニケーションを取れる相手を増やすことは、子どもの世界を広げることです。英語話者は世界に約15億人いるといわれていて、それぞれがさまざまな文化的背景を持っています。日本人とだけではなく英語圏の人とも会話ができれば、未知の知識を得られるだけではなく、より多くの刺激を受けてコミュニケーション能力を高めることも可能です。
1-3.国外の情報や仕事にアクセスしやすくなる
当然ながら、英語による情報は英語ができる人にしか理解できません。多少の英語ができる人であれば辞書を引いたり、翻訳機能を活用したりすることで英語の情報を得られないわけではありませんが、日常的に行うには効率が悪く面倒です。また、そもそも英語に苦手意識があると海外の情報に触れる機会を自ら避けてしまうこともあるでしょう。そのため、モノリンガルはバイリンガルと比べて、日常的に海外のニュースや情報に触れる機会は少ない傾向にあります。
一方、バイリンガルは英語を日本語と同じように理解できるため、英語による情報も無理なく日常的に入手できます。たとえば、Web上の情報は約12%が英語です。日本語によるWeb上の情報は約1.2%であるため、単純計算しても、バイリンガルになることでモノリンガルよりも約10倍の情報を得られることになります。英語話者と同程度に英語を理解できるバイリンガルであれば日本語に翻訳されていなくても難なく英語の情報を知ることが可能です。海外旅行や留学などに対しても、言葉に対する不安がない分、積極的にチャレンジできます。さらに、英語に子どもの頃からなじんでいれば言葉の壁に対する不安がないため、外資系の会社や海外にある会社への就職もしやすくなります。
2.後々の学校教育における英語学習の負担も減る!
バイリンガル教育の良い影響が出るのは将来的なことだけではありません。小学校に上がってからの早々の時期にもメリットが生じます。ここでは、バイリンガルであることのメリットについて、学校教育における英語学習の状況と併せて解説します。
2-1.指導要領の改定により英語の学習量が増大
進展する社会のグローバル化に伴い、英語に対する大きな変革が行われています。従来の日本の英語教育は、受験対策を重点においた実用性の低い学習であることや海外での経験を持つ教員が少ないことなど教育方法に課題が多く、批判も少なくありませんでした。また、日本では日常生活のなかで英語を使える機会がほとんどないうえ、学校での限られた少ない授業数のなかで習得する難しさも問題となっていました。そこで、2018年度から英語教育に対する改善に向けた改革が行われ、それによって英語の学習量が増えています。
小学校では英語に関わる授業時間の増加とともに、覚えなければならない単語数や学習しなければならない文法も増大しています。さらに、中学校になっても授業で扱う単語や文法は増えていて各学年で習得しなければならない内容は以前より高度です。英語は小学校や中学校だけではなく、高等学校や大学などでも学習する科目であり、小学校のうちから子どもに苦手意識を持たせないようにしておくことは重要となります。小学校入学前から先行して子どもにバイリンガル教育を行っておけば、小学校に上がってから授業についていけなくなるなどして英語を苦手科目と思わせることも避けられるでしょう。
2-2.小学校での英語学習
グローバル化が進んでいるにもかかわらず、英語教育にさまざまな課題を残していたなか、2013年12月13日に文部科学省がグローバル化に対応した英語教育改革を実施する計画を発表しました。一部の小学校では2018年度から、全面的には2020年度から新学習指導要領の実施に伴った新たな英語教育が始まっています。この英語教育改革により大きく変わった点は、まず、これまで小学5~6年生が対象だった「外国語活動」と呼ばれる英語と触れ合う時間が先行して小学3~4年生から取られるようになったことです。外国語活動の授業は年間で35単位、週1コマ程度実施されるようになりました。また、小学5~6年生では英語でのコミュニケーションスキルの基礎を養う授業が年間で70単位、週に2コマ程度導入され、英語の授業時間が大幅に増えています。
これらの改革の結果、小学3~6年生の間に習得しなければならないとされる単語数は約600~700単語です。5~6年生は教科として英語の授業がはじまるため、通知表にも英語の習熟度が成績としてつきます。従来中学校1年生で習う文法などの内容の多くを小学生のうちに習得しなければならないことは、子どもによっては大きな負担です。早いうちから英語学習をスタートさせておくことは、たとえバイリンガルのレベルに達することはできなくても、学校の授業に対応するための準備として役立ちます。
2-3.中学校での英語学習
中学校でも2021年度から全面的に実施される新学習指導要領において英語の目標として掲げられているのが実践的な英語力をつけることであり、目標達成に向けた手段として挙げられているのが「4技能5領域」の強化です。4技能とは「聞く」「読む」「書く」「話す」の4つの技能を指します。そして、5領域とは「聞く」「読む」「書く」「話す(やり取り)」「話す(発表)」の5つの行為です。これらは小学校から高等学校までの間に一貫した目標に向かって段階的に習得するように計画されていて、中学校では4技能のうち、「聞く」「話す」の教育に重点が置かれています。英語を使いこなせるバイリンガルであれば、中学校で学ぶレベルの「聞く」「話す」は特に難しくなく、通常であればリスニングやスピーキングの学習もスムーズです。また、授業の説明の際にも英語が使用される場面はありますが、バイリンガルであれば自然と受け入れられることでしょう。
一方、バイリンガルではない生徒の場合、中学校レベルの英語であっても初めて聞いたり口にしたりする単語や文法なども出てくるため、習得の負荷は大きくなります。習得目標とされている単語数だけ見ても、従来の1200語から1600~1800語まで増加している状況です。さらに、「現在完了進行形」「原形不定詞」「仮定法」などの文法はこれまで高等学校で学習する範囲でしたが新学習指導要領では中学校3年生で習うことに変わりました。加えて、be動詞と一般動詞を段階的に学習するのではなく、中学校に入学して最初の単元として同時に学ぶなど、中学校での学習レベルも大きく上がっています。そのため、入学と同時に英語力の二極化が進む可能性はこれまで以上に高く、学校の授業に遅れないためにも早くからの十分な対策が必要です。
2-4.高校受験や大学受験もラクに
高校受験や大学受験は応用力が問われることもあるものの、基本的にはそれ以前の学習の成果が評価される試験です。小学校や中学校での英語の学習量が増えれば、その分、受験で求められる平均レベルも高くなることが予想されます。たとえば、高等学校までに習得する語彙の目安は3000語から4000語~5000語に増えているため、受験対策としても従来よりも多く単語を覚えておかなければなりません。難関大学に至っては新学習指導要領となる以前でも6000語以上の習得が必要とされていて、今後はそれ以上の単語力を求められることになるでしょう。
バイリンガルがどれほどの語彙数を持っているかは人それぞれ異なるため正確に示すことはできませんが、日常生活を送るにあたり不自由がない語彙力は2万語程度です。そのため、2万語程度の語彙力を持っていればバイリンガルのレベルといえるでしょう。2万単語をすでに習得していれば、英語の受験勉強をするにあたり、単語を覚える時間を削減できます。バイリンガルは、単語だけではなく、文法などにおいても一般の受験生よりも習熟度が高いため、ほかの科目にさける時間を多く取れて有利です。英語の勉強時間を減らせられる分、受験勉強の負担は軽くなります。
2-5.英検®やTOEICなどの検定試験でも有利に
英語には英検®やTOEIC、TOEFL、IELTS、GTECなどさまざまな検定試験があり、資格や一定以上の点数を取得することで、自分の英語力を確認できるだけではなく、受験や就職の際に有利となる場合もあります。既定の資格などを取得していると、受験科目の総合点に点数が加算されたり、試験の免除を受けられたりする学校もあるからです。入学後も奨学金の給付や、入学金や授業料に対する減免の対象となることもあります。さらに、英語科目の単位として認定される学校もあり、利用できればお得です。また、入社条件として一定以上の資格取得を求めたり、入社試験で高く評価したり、昇進の参考にしたりする会社もあり、社会人になってからも有利となる場合があります。
受験や就職などで役立てるためには、よりレベルの高い資格や高得点を取得しておくことが必要です。役立てられる場面をより広げられる英検®1級の合格やTOEIC900点以上の取得は簡単なことではありませんが、試験準備を始める段階における英語の習熟度が高いバイリンガルは一般の学生に比べて合格までの距離が近いはずです。英語力に自信があれば、ケンブリッジ英検や国連英検などのような国際的にも通用する検定試験を受けておくと将来の可能性をより広げられます。
※ケンブリッジ英検とはケンブリッジ大学が世界130カ国以上で実施している検定試験です。認定書を受けると世界的に通用する英語力の証明となります。
※国連英検とは「国際連合公用語英語検定試験」を正式名称とする歴史ある検定試験です。国際的に活躍できる真の国際人を育成することを目的としたコミュニケーション能力を重視する検定試験で公益財団法人日本国際連合協会が実施しています。
3.バイリンガル教育における注意点
日本人の親を持つ子どもであってもバイリンガル教育によりバイリンガルになれる可能性がないわけではありません。ただし、そもそも本人に素質があり、親が努力をすることが必要です。さらに、適切な指導法によりバイリンガル教育を実践することも必須となります。ここでは、バイリンガル教育を行うにあたり注意しておくべき主なポイントを2つ紹介します。
3-1.第一言語である日本語をおろそかにしない
子どもに英語を覚えさせたいあまりに、自宅で英語ばかり使用するなど英語に偏りすぎた教育を行う親がいます。バイリンガル教育を熱心に行うことは悪いことではありませんが、母国語である日本語の習熟をおろそかにする教育はまだ年齢の小さな子どもにはよくありません。英語の習得のベースとなるのは論理的な思考や語彙力であり、これらを向上させるには母国語である日本語の言語能力をきちんと備えていることが必須です。日本語も満足にできていないのに英語の力を伸ばすことはできません。
そもそも、日本では学校の授業で日本語が使用されます。日本語の言語能力が低いと授業の内容を十分に理解できず、たとえ英語ができても、そのほかの教科で授業に遅れが生じてしまう可能性があり本末転倒です。高い理解力を持っているかどうかは、特に高校生以上になってからの勉強に影響を与えます。比較的平易な言葉で説明される小学校や中学校までの学習内容とは異なり、高校生以上の授業では英文も難解な説明や構成になってくるからです。日本語の言語能力が不十分だと、英語の意味はわかるのに、問題が解けなくなる可能性もあります。
3-2.英語をしっかりと理解させる
一時的な試験対策のような表面的な勉強ではバイリンガルになれません。基本をしっかりと固めたうえで学習を進めることが重要となります。英語の早期教育は、英語の基礎固めをするために効率的な手段です。特に、小学校入学前の子どもは吸収力に優れているため、英会話の基礎となる発音やリスニングをネイティブに近づけやすくなります。また、バイリンガルになるためには、会話の学習ばかりに力を入れず、文字情報にもきちんと対応できるようにしておかなければなりません。日本語教育でも、会話ができるだけではなく、文章を読み書きすることも大事です。漢字の書き取りを行うのと同じく、英語でも単語のつづりを書く練習で単語力を付けさせることが重要となります。加えて、日本語にはない冠詞や前置詞の正しい使い方も併せて教えておかなければなりません。さらに、日本語では使用しなくても不便がない主語ですが、英語ではきちんと付ける必要があることなども忘れずに教えておきましょう。
すべてを一度に教える必要はありませんが、子どもの発達段階に応じて英文法をしっかりと理解させておくことが後々の英語の応用力向上にもつながります。英語の学習内容をより深めたいならフォニックスを取り入れると効果的です。幼児期からフォニックスを採用した学習を行うと発音やリスニング、リーディング力の向上につながります。
※フォニックスとは英語のつづりと音の関係性を理解し、英語の読み書きにつながる英語圏では広く浸透している学習法のことをさします。
40年で培われたKDIのバイリンガル教育
バイリンガルになると多くのメリットに期待が持てるとはいえ、両親が日本人の子どもをバイリンガルに育てることは容易ではありません。教育方法を間違えて子どもの将来に悪影響を与えないためには、英語の早期教育に詳しいプロに任せることがおすすめです。「Kids Duo International」ではやる気スイッチグループの40年の教育ノウハウを生かしたバイリンガル教育を行っています。興味を持ったら入園説明会への参加や問い合わせをしてみてください。
※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。このコンテンツは、公益財団法人 日本英語検定協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
早期英語教育には、英語力を身につける以外にもさまざまなメリットが存在します。異文化理解を深め、自信をもって英語でコミュニケーションをとれるようになるために、幼少期から英語に触れさせていきたいものです。
学習法は、習い事や教材を利用するほか、英語のCD・DVDを流すなどさまざまな選択肢が存在します。ただ、一定以上の英語量に触れさせ、英語を話す環境下に身を置くとなると、「インターナショナル幼稚園」や「プリスクール」が最適かもしれません。
早期英語教育を中心とした独自のカリキュラムを採用しているのが、バイリンガル幼児園「Kids Duo International」。卒園までの4年間で約3,000時間を英語で過ごすため、英語教育に関心の高い保護者の方から注目を集めています。
40年間にわたって培われた教育カリキュラムでは、語学以外の面にも注力。バイリンガル講師とのコミュニケーションや知能教育のほか、クラスメイトとの遊びを通して英語圏と日本の文化に触れられるなど、日本語と英語をバランスよく学ぶことも大切にしています。
執筆者:バイリンガル幼児園Kids Duo International コラム編集部
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